Arise Coffee Roasters アライズ コーヒー ロースターズ
- 〒135-0023 東京都江東区平野1-13-8
- Tel: 03-3643-3601
- Fax: 03-3643-3602
- 定休日 月曜日
- 営業時間 午前9時~午後6時
- 焙煎所併設 2013年9月オープン
(ただし、しばしば臨時休業しますのでtwitterを、
クリックして、営業していることをお確かめの上、お越しください。)
http://arisecoffee.jp/
https://twitter.com/arisecoffee
Single Origin Coffee(ある日のメニューの例):
Ethiopia Yirgachefe エチオピア イルガチェフェ
江戸深川エリア、FAR EAST TOKYOに位置する自家焙煎コーヒーショップ。焙煎豆販売、ドリップコーヒーの提供が中心です。イートインでもテイクアウトでも。
東東京ローカルはもちろん、遠方の方も美術館巡りや下町散策のついでにお立ち寄りいただけると嬉しいです。
この町に灯るあかりのようにあたたかな場所
ARISE COFFEE ROASTERS OWNERHayashi Taiju 林 大樹
清澄白河の駅から約10分。ギャラリーや様々なお店を眺めながら歩いていると、ほのかにコーヒーの香りが漂うとある四つ辻に辿り着きます。香りの出所は、その一角にある ARISE COFFEE ROASTERS。小さな店舗にはひっきりなしにお客さんが訪れ、コーヒーを待ちながら、その空間をともにするお客さん同士でさりげない会話が生まれる、あたたかでのどかな空気。2013年9月にオープンしてからわずか9カ月で、この町のあかりのような存在になっている、店主の林大樹さんにお話を伺いました。
アパレルからコーヒー界へ、突然の転身
- 文化服装学院をご卒業後、一度は服飾の道に進まれたこともあったそうですね。
林大樹(以下、林): アパレルに就職したんですが、その頃はZUCCAが丸の内に「Dragonfly Cafe(閉店)」をオープンさせるなど、アパレルがライフスタイルにシフトし始めた時期でもあって、僕自身も人の生活に関わる部分で仕事がしたいと思うようになったんです。もともとコーヒーが好きだったから、日本国内でコーヒーの製造に関わる販売より川上の仕事を考えたとき、学生の頃から現物に触りながら何かを作ることが好きだったこともあり、やりたいのはバリスタではなく、焙煎だと思いました。
- 焙煎士として10年勤めてから、ARISE COFFEE ROASTERSを開く前に働いていた「The Cream of the Crop Coffee」へ。
林: ベルギーのショコラティエ・ピエールマルコリーニを運営しているこの会社は、前々職の焙煎会社で実際に僕自身が焙煎していたコーヒー豆を買い続けてくれていたこともあり以前から知っていたのですが、たまたまホワイトデーか何かで買いに行こうと思ってウェブサイトを見ていたら、「コーヒー事業部を始める」って情報が書いてあったんですよ(笑)。勤務地の住所を見たら家からスケートボードで15分くらいの距離だったから、とりあえず話を聞きに行ってみることにして。
お客さんと触れ合う、ちょっと変わった焙煎士に
- 近い(笑)! そうして、清澄白河時代が始まるんですね。
林: 犬コーヒー(の清澄白河工場)は、矢澤くん(The Cream of the Crop Coffee・矢澤政治さん)と僕のカラーがかなり色濃く出ていたと思います。今までは裏方で、時には僕が焙煎したことすら黙っていたこともあったけど、僕が前に出て、お客さんから僕に訊ねられたこと、コーヒーに関する専門的な事だけでなく、たとえば好きなお店だとかそういうことに答えたときに、反応がダイレクトに、クイックに返ってくることがすごく面白くて。
- 触れ合う喜びのようなものを知ったんですね。
林: 1年半くらい働いて、そろそろ自分の力でやりたいようにやってみたほうがいいなと思い始めました。今僕がやっていることは、過去にやってきたことをもっとストリート的にしたようなことで、より僕のパーソナルなカラーが出ているというか。僕はバリスタではないので、焙煎がおろそかになっては元も子もないから、そこだけはブレないようにと思ってやっています。
- 林さんとしては、あくまで「焼く」ことがメインで、だからこそここはカフェではなくスタンドというスタイルなんですね。
林: そうですね、焙煎所の横でコーヒーもちょっと飲めますよという気軽さです。幸いにも、お客さんの層がすごく様々ですね。自力で来てくれる方で上が94歳。
- じ、自力(笑)。
林: はい(笑)。もうちょっと年上の方もいらっしゃるんですけど、必ず奥様が連れ添っていて。下は7歳で、その子はおつかいなんですけど、お母さんのコーヒーを買ったら「お駄賃でラスク(ARISEでは同じ清澄白河にあるコトリパンのパンや焼き菓子が食べられる)を買ってもいいよ」って言われているらしくて。
- 素敵ですね! 駄菓子屋みたいな存在(笑)。
林: そう(笑)。お客さんが途切れたら店先でその辺の子どもたちと一緒に縄跳びしてみたり、犬や鷹を連れて来られるお客さんがいるので遊んだり、わざとらしいまでに平和な風景が、日常です。そういえば、このあたりは作家さんや色々なクリエイターの方がすごく多いんですが、彼らが日々ここに訪れてくれるのも楽しみのひとつです。
なぜ、清澄白河だったのか
- ここにお店を出す、ということはずっと考えていたんですか?
林: 江東区のなかでも、ここしかないと思っていました。犬コーヒーのときに人生で初めて、中学生のときから思い描いていたスケートボード通勤が可能になったんですよ。電車に乗らない幸せ(笑)。ここは新しく引っ越してくる人もたくさん居るんですけど、僕は14年くらい住んでいるので、新しい人たちに飲食店だったりとか知りたい情報を教えてあげられる、観光案内所的な役割にもなっていたりして。
- このインタビュー中にも、通りすがりの方に道を訊ねられたり、お客さんにお店を教えてあげる場面が何度もありました。この町に長く住みたくなる魅力はどんなところにありますか?
林: 僕は川が好きなんですが、昔このあたりは東洋のヴェネツィアと呼ばれていたくらいで、隅田川を源流にした細かい川がたくさんあるんです。それから、人が少ないです(笑)。
- 人が少ない(笑)。
林: 若者が少ないんですよね。渋谷や原宿って人が多くて、遊びに行くにはいいけど自分では住もうとは思わないんですよ。僕は自堕落なので高円寺とかに住んだらきっとダメ人間になる(笑)。そういうさじ加減がちょうどよくて、住んでいる人も、とんがった若者が少ないかわりに、とんがった大人がちらほら居て。このあたりでアトリエを構えていたり、ギャラリストだったり、色んな会社もあるし。そういう人たちの中には、僕みたいな感覚で、都会に居たけれどそろそろゆったりしたいと思って移住してきたり、僕は行ったことがないのですが、「サンフランシスコに似ている」っておっしゃる方もいます。
林さんにとっての「仕事」、そしてARISE的「日曜日の夕方5時」
- 地元を大事にしている心や、お客さんとの時間が大好きなことがとても伝わってくるのですが、林さんは日々どんなことを考えながら、豆を焼いたりコーヒーを淹れたりしていますか? 自分の生活のなかで、仕事はどんな立ち位置にあるのでしょうか。
林: やっぱり、境界線は曖昧になってきていると思います。焙煎中がいちばん真剣ですね。焙煎していていちばん楽しい瞬間って、思い通りに焼けたかどうか、焼いた豆をクーラーで冷やしながら豆を触って、「水抜きがうまくいったはずなのに、思ったより重いな…」とかやっているときで。一日に4、5回も来て下さる常連さんで、いつも豆が決まっている方に、違う焼き方をしたものを試してもらうこともあります。僕が思うように焼いたものを飲んでくれる方がいるということが、シンプルでいちばん嬉しいことですね。
- では「Sunday 5pm」のコンセプトである「日曜の夕方5時」という時間帯に飲んでもらいたい、おすすめの1杯はありますか?
林: ドミニカのプリンセサです。当店に置いている中でもバランス型で、シーンを選ばない豆。たとえば食後だったら、何を食べたかによって飲みたいものも変わってくると思います。でも、夕方5時というのは半端な時間帯なので、誰にとってもしっくりきやすい豆がいい。センシティブな気持ちのときだったらなおさら、個性が立ち過ぎていないほうがいいこともあるかもしれないですからね。
- なるほど。
林: 飲んでもらうと、リフレッシュ感もあるし、バランスの良さや冷めたときの奥行きを感じられると思います。ゆっくりと温度による味の変化も含めて楽しんでもらえると嬉しいですね。実は僕が唯一切らしたことがない豆で、いつも定位置に置いています。
つくり話みたいなほど、毎日がドラマ
- いまこうしている間にも、林さんとお客さんやお客さん同士のコミュニケーションが活発におこなわれていますが、本当に毎日毎日、いろんなことがありそうです。
林: ここにいらした年配のお客さんがお店の写真を撮って、あとからお手紙と一緒にわざわざ送ってくださったことがありました。それも、プレオープンくらいの時期だったんですが、そのあとも何度か来てくださって、同じくらいのお年のおばあちゃんと話したり、そんな下町らしい風景もあります。ごく初期からそんなことがあって嬉しかったですね。
- お客さん同士のコミュニケーションが自然に生まれるところありますよね、ここ。
林: あと、そうだ、先ほど話に出た94歳の自力で来てくださるおじいさんがある日、「昨日は風が強いから来れなかったんだ。この年で転んだら大変だからね。」とおっしゃったので、僕は「無理せず、来られるときに来て下さいね」と話していたんですが、ふと、ベビーカーを側に置いて赤ちゃんを抱いて座っていた女性のお客さんが、ボロボロと泣いているんです。どうしたのか訊ねてみたら、そのおじいさんが前の年に亡くなったお父さんにそっくりだったらしくて。他の常連さんもその光景をみてもらい泣きし始め…。
- おお…。このお店は、もう長いことここにあるんじゃないかって気がしてきました。
林: 実は沖縄を訪れたときに出会った方々やお店に影響を受けて、今のARISEのようなお店を開きたいと思ったんです。そこにはおじいちゃんおばあちゃん、外国人、子どもたち…、色んなお客さんがいて、なんだかとっても和む場所。気候もあるんだろうけど、人柄なんでしょうね。そういう意味でも、下町と近いものを感じて、僕にもこんなお店ができるかもしれないなと思ったんです。
- 思い描いたお店像は、沖縄で生まれたんですね。
林: 今や、決まった曜日や時間や、一日に何度も来てくれる常連さん同士が顔見知りになって、「あの人にこれ渡しといてくれる? 君にもひとつあげるから」って、預けものをされることもあるんですよ(笑)。
- 地域の中でも面白い位置にありますよね。お店をやっているからこそというか、ここがあるからこそ生まれるコミュニケーション。これからも、ここがそんなあたたかな場所であって欲しいと願わずに居られません。
林: ここを待ち合わせ場所にしてくれていたり、みなさんの中継地点になっていたりすることが嬉しいです。本来お店をやっていなければ触れ合うことがないであろう、世代が違ったり、社会的ステータスが違う方々と接することで、得ることが沢山あります。そのうえで信頼関係ができあがったりしていて、本当に有難いことだと思っています。
http://sunday5pm.com/interview/arise-coffee-roasters/
東洋経済ONLINE
清澄白河の超個性派カフェへ行ってみよう
ブルーボトルの出店で賑わうカフェの街
川口 葉子:All About カフェガイド
http://toyokeizai.net/articles/-/61282
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